札幌市に事業を進出させる際のメリットとデメリット
投稿日:2023年5月31日
目次
はじめに
札幌市は北海道最大の都市であり、その経済、文化、政治の中心地として知られています。そうした都市ならではの魅力と機能性が、多くの企業や事業主にとって新たなビジネスの機会をもたらしています。しかし、どの都市にも言えることですが、事業を進出させる際には必ずしも良い面ばかりではなく、考慮すべき課題も存在します。この記事では、札幌市への事業進出について考えるうえで、そのメリットとデメリットを明らかにし、より具体的な判断の参考となる情報を提供します。
札幌市に事業を進出させるメリット
札幌市は北海道の中心地であり、広大な市場、豊富な人材、優れたインフラ、そして高い生活の質を提供します。これらはすべて札幌市への事業進出を検討する際の大きなメリットとなります。以下では、それぞれのメリットについて具体的に詳述します。
1. 農業
札幌市は「MADE IN HOKKAIDO」の名で知られ、その価値はアジア地域でも認識されています。北海道は日本の農地の4分の1を占め、農業生産と漁業の重要な供給地域であり、食品製造業でも出荷額と事業所数が日本一です。高付加価値な北海道産の農海産物は一貫して人気があり、地域の経済成長に伴う高品質食品の需要増加により、更に注目を集めています。
2. バイオ産業
札幌市は、涼しい気候、豊富なバイオリソース、大学と研究機関の集中という地域特性に恵まれており、バイオインダストリーに適した場所です。札幌市には120以上の企業が所在し、北海道バイオテクノロジー工業クラスターフォーラムに参加しています。これは、企業、大学、研究機関がネットワークを形成し、北海道内外の企業との交流を促進するものです。
3. IT/デジタル産業
札幌市は日本を代表するIT産業の拠点であり、優れた企業を育て、ITとデジタルコンテンツ産業の推進を続けています。2013年には、その努力が認められ、メディアアート分野でUNESCOクリエイティブシティネットワークのメンバーとして最初に認められたアジアの都市となりました。
4. コールセンター/バックオフィス
札幌市は、その日本式の高品質なサービス、合理적なビジネスコスト、自然災害のリスクが低いという点で、BPOベースとしてのメリットを発揮しています。多くのグローバル企業が札幌市を選び、コールセンターやBPOセンターが集積しています。最近では、本社に適した機能を持つ場所として注目されています。
5. 環境・エネルギー産業
北海道は、太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーの可能性が日本一です。特に、風力発電の量は全国一で、風の条件が良い日本海沿いに主に設置されています。2018年3月末現在、304台の風力発電機が設置され、総設置容量は358,745kWで、日本の風力発電地域としてはトップレベルです。
6. 観光産業
札幌市は魅力的な都市として評価され、人気の観光都市です。私的調査による全国の市町村の魅力度ランキングでは常にトップに位置しています。札幌市を訪れる観光客の総数は年間約1500万人に達しており、新たな国際直行便やビザ発給要件の緩和により、外国人観光客が年々増加しています。2018年度には、外国人宿泊客数が過去最高の270万人に達しました。観光業は他の産業にも波及効果をもたらします。
札幌市に事業進出を考える際のデメリット
一方で、札幌市への事業進出には潜在的なデメリットも存在します。その地理的な距離、明確な季節性、人材の流動性、そして競争環境は、計画段階で考慮すべき重要な要素です。以下では、これらのデメリットについて詳細に解説します。
1. 冬季の厳しい気候
北海道は日本で最も冷え込む地域の一つであり、札幌市も例外ではありません。冬季は厳しく、雪が非常に多く降ります。これは、特に物流や建設業などの産業に影響を与える可能性があります。また、雪道での運転や除雪作業が必要となるため、業務の効率性や安全性にも影響を及ぼす可能性があります。
2. 地方都市であるための制約
札幌市は北海道の中心都市であり、多くの業界で活躍していますが、それでも東京や大阪などの大都市と比べると規模は小さく、一部の産業では市場規模や人材の制約があります。これは、特に専門的なスキルを持つ人材を必要とするビジネスに影響を与える可能性があります。
3. 人材の流動性
札幌市は北海道の中心地であり、多くの優秀な人材を擁していますが、他地域と比べると人口が少ないため、必要なスキルや経験を持つ人材を探すのが難しい場合があります。また、札幌市から他の地域への人材の移動も頻繁に起こるため、高い流動性を持つ人材を確保し続けることに挑戦が伴うかもしれません。
4. 競争環境
札幌市は経済活動が活発な都市であり、多くの企業が市場を求めています。その結果、特定の業界や市場で競争が激化している場合があります。事業を成功させるためには、競争相手を正確に理解し、独自の競争力を維持し続けることが重要です。
まとめ
札幌市への事業進出には、地理的な距離、季節性の影響、人材の流動性、競争環境といったデメリットが存在します。これらを十分に理解し、対策を講じることで、成功に向けた道筋を見つけることが可能です。
特に、地理的な距離や季節性の影響による物流の問題は、先見的な計画と物流パートナーとの緊密な協力によって緩和することができます。また、札幌市の気候条件は、特定のビジネスモデルや業種にとっては独自のチャンスを提供することもあります。たとえば、冬季スポーツ関連のビジネスや、雪や寒冷な環境を活用した革新的なサービスなどです。
人材の流動性については、札幌市内の教育機関と連携し、優れた卒業生を確保することが一つの対策となります。また、リモートワークやフレキシブルワークの導入により、札幌市外からも優秀な人材を確保することが可能となります。
競争環境に関しては、独自の競争力を強化し、顧客に提供する価値を明確にすることが求められます。競争相手の活動を密に監視し、市場の変化に素早く対応することも重要です。
以上のことを考慮に入れながら、札幌市への事業進出の是非を慎重に判断することが重要です。札幌市の特性を理解し、それを活かした事業戦略を立てることで、成功への道を切り開くことができるでしょう。
参考URL
SAPPORO企業進出総合ナビ(外部リンク)