GLOSSARY社労士用語集

男女雇用機会均等法(だんじょこようきかいきんとうほう)

POINT

男女雇用機会均等法は、事業所における男女の雇用機会の平等、両立支援、性別による嫌がらせ防止を目的とした法律です。
※正式名称:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

1. 男女雇用機会均等法の概要

男女雇用機会均等法(以下、均等法)は、性別による差別を排除し、雇用における男女の機会を均等に保障することを目的とした法律です。具体的には、事業所に対して、採用、昇進、賃金、教育訓練、福利厚生等の雇用管理において、性別による差別を禁止し、男女がそれぞれの能力と適性を十分に発揮できる環境を整備するよう求めています。

本法は、男女平等の原則を明確に位置づけ、事業所に対する義務と制限を設けることで、これを実現しようとするものです。法律はあくまで枠組みを提供し、各事業所が具体的な施策を考え、実行することを促します。

また、事業所が法令に従わない場合、行政指導や公表などの措置が取られることもあります。これらは事業所の社会的評価やブランドイメージに影響を与える可能性があるため、法令遵守は事業運営の一部となっています。

均等法の適用範囲は、一定の規模以上の事業所に限定されており、具体的な基準は法令で定められています。ただし、法令が定める最低基準に留まらず、事業所の特性や働く人々のニーズに応じて、更なる取り組みが求められる場合もあります。このような観点から、事業所は均等法の趣旨を理解し、適切な取り組みを行うことが重要となります。

2. この記事における用語の定義

本記事で使用する主要な用語について定義を明確にします。これらの定義は均等法の解釈や適用を理解するための基礎となります。

事業所

均等法が適用される範囲を示す用語であり、従業員を雇用する組織や場所を指します。法律上の定義では、会社、団体、個人事業主など、労働者を雇用し業務を行っている場所を全て含みます。

雇用機会

雇用機会とは、仕事を求める者が仕事を得る可能性を示す用語で、採用、昇進、賃金、教育訓練など、職務に関連する全ての機会を含みます。均等法は、性別による雇用機会の不平等を禁じています。

均等待遇

均等待遇とは、同等の労働に対して同等の待遇をすることを指す原則です。これは性別に関わらず、同じ職務を行う従業員には同等の待遇を提供すべきであるという原則を意味します。

性別差別

性別差別とは、ある性別を他の性別よりも不利に扱うこと、またはある性別に対して過度な制約を課すことを指します。均等法はこの性別差別を禁止し、雇用における男女の機会均等を保障しています。

3. 男女雇用機会均等法が求める事業所の取り組み

男女雇用機会均等法(均等法)の実施に向けて、事業所は具体的な取り組みを行う必要があります。以下、主要な取り組みについて解説します。

採用プロセスの均等化

採用においては性別による不当な差別がないよう、採用情報の提供、採用試験、採用後の配置等、一連のプロセスにおいて均等な機会を確保します。採用試験や面接においても性別による差別的な扱いがないよう配慮します。

賃金と昇進の均等化

均等法では、同等の労働に対して同等の待遇を行う均等待遇の原則を求めています。具体的には、同一の職務を行う男女従業員に対して同等の賃金を支払い、昇進の機会も均等に提供することが必要です。

育児と仕事の両立支援

均等法では、育児や介護などの家庭の事情と仕事との両立を支援する制度を事業所が設けることを求めています。これにより、従業員が性別に関わらずキャリアを継続することを可能にします。

性別による嫌がらせの防止

事業所は、性別による嫌がらせ(セクハラ)を防止するための取り組みも求められます。具体的には、セクハラ防止の方針を明示し、従業員に対する教育や啓発活動を実施することが必要です。

以上の取り組みは、事業所が均等法を遵守する上での最低限の要求となりますが、事業所の具体的な状況や従業員のニーズに応じて、更なる取り組みが求められる場合もあります。

4. 男女雇用機会均等法の違反とその結果

均等法に違反する行為とその結果について解説します。法令遵守の観点から、事業所は均等法の内容を理解し、適切な対応を行うことが求められます。

均等法の違反行為

違反とされる行為は、採用、昇進、降格、賃金、解雇等における性別に基づく不合理な差別、性別による嫌がらせ、さらには均等法に基づく通報者への報復行為等、幅広く存在します。

違反の結果

違反が確認された場合、公正労働委員会から是正勧告や命令が出される可能性があります。また、労働基準監督署からの指導や改善命令の可能性もあります。さらに重大な場合には、行政罰や刑事罰の対象となることもあります。

違反行為への対策

違反行為を未然に防ぐためには、事業所内での適切な情報共有と教育が重要です。具体的には、均等法の内容を理解した上で、それを基にした内部規定を設け、従業員に周知徹底することが必要です。また、問題が発生した際の対応策を明確にしておくことも重要です。

均等法違反は、事業所の評価や従業員のモラルにも影響を及ぼします。法令遵守だけでなく、良好な職場環境の構築にも貢献するため、その理解と遵守は事業所の重要な責任です。

5. 事業所の取り組みとその評価

事業所が男女雇用機会均等法を実施する際の取り組みとその評価について説明します。

事業所の取り組み

事業所は、均等法に基づき具体的な取り組みを進める必要があります。それには、採用、昇進、賃金、労働条件等における性別による不合理な差別の解消、両性の職業生活と家庭生活の両立を支援する制度の整備、性別による嫌がらせの防止などが含まれます。

取り組みの評価

取り組みは、均等法に基づく義務の遵守状況、具体的な制度の整備と運用、従業員の理解と行動変容等、複数の観点から評価されます。その評価は、労働基準監督署や公正労働委員会などの行政機関によるチェックや、事業所自身による自己チェック等、多様な形で行われます。

評価結果の活用

評価結果は、事業所の制度改善や運用改善のためのフィードバックとして活用されます。また、良好な評価は、事業所の信用性向上や、優良事業所としての認定等にも繋がる可能性があります。

以上のように、均等法の遵守は事業所の法令遵守はもとより、良好な労働環境の構築、企業価値の向上にも寄与します。事業所は、均等法を理解し、適切な取り組みを進めることが求められます。

6. まとめ

本記事では、男女雇用機会均等法について説明しました。その概要、定義する用語、具体的な法令内容、法令違反時の対応、事業所の取り組みとその評価について順を追って解説しました。

男女雇用機会均等法は、事業所における男女の均等な雇用機会の確保と、職業生活と家庭生活の両立支援、性別による嫌がらせの防止を目的としています。適切な取り組みと評価体制を整備することで、事業所はより良い労働環境を構築し、企業価値を向上させることが可能です。

しかし、一方で法令違反は罰則が伴うため、法令遵守のための取り組みも重要です。具体的な法令内容の理解と遵守、違反時の対応策の整備、適切な取り組みとその評価のための体制作りが求められます。

男女雇用機会均等法の適切な理解と実践は、事業所の良好な労働環境の構築、企業価値の向上、法令遵守に寄与します。その達成に向け、各事業所において適切な取り組みと体制整備が期待されます。

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