GLOSSARY社労士用語集

育児・介護休業法(いくじ・かいごきゅうぎょうほう)

POINT

育児・介護休業法は、労働者が育児や家族の介護のために休業できる権利を保障し、その適用手続きを規定する日本の法律です。
※正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

1. 育児・介護休業法の概要

育児・介護休業法(以下、本法)は、従業員が子育てや家族の介護を行うために一定期間休業する権利を保障する法律です。本法は、出産や育児、介護等の生活イベントが起きた際、その従業員が仕事と家庭生活を両立できるように支援するために制定されました。

本法は事業所に対し、従業員が育児や介護を理由とする休業申出を行った場合、一定の条件下でこれを認めることを義務付けています。また、休業後の従業員の復職も保障し、復職後の待遇保護も規定しています。

この制度は労働力維持の観点からも重要であり、従業員が安心して休業を取得し、その後も職場で活躍できることを支援することは、事業所の生産性向上にも寄与します。本法の適用を適切に行うことで、従業員のワークライフバランスの向上と共に、事業所の持続的な発展につながると考えられます。

2. この記事における用語の定義

休業申出

育児・介護休業法に基づき、従業員が事業所に対して行う、育児または介護を理由とする休業の申し出のことを指します。休業期間、休業の開始・終了の日程などを事前に指定します。

復職

休業期間終了後、従業員が再び勤務を開始することを指します。本法は、従業員が休業前の職場に戻ることを保証します。

待遇保護

復職後の従業員の待遇が、休業前と比較して不利な変更を受けないことを保障する法的な仕組みです。休業前後で待遇に差が生じないようにするための規定が含まれています。

事業所

労働者を雇用する組織や場所を指します。企業、学校、病院、官公庁、非営利団体など、さまざまな形態の組織が該当します。本法は「事業所」に対して従業員の休業を認め、その復職を保証するよう求めています。

これらの用語は本法の理解と適用において重要であり、本記事内での使用においては上記の定義に従います。

3. 育児・介護休業法が求める事業所の役割と責任

本法により、事業所は従業員からの休業申出に応じる責任を負います。ただし、全ての申出が自動的に認められるわけではありません。従業員が本法で定められた要件を満たしている場合にのみ、休業申出は認められます。

具体的には、休業を申し出る従業員が子どもの育児や家族の介護に直面していること、そして休業期間や開始・終了の日程が明確に指定されていることが必要です。

また、事業所は休業申出が承認された従業員の復職を保証する役割を持ちます。休業後の従業員が同等の待遇を保障されるように、事業所は待遇保護に取り組む必要があります。

さらに、本法は事業所に対し、従業員への情報提供や啓発活動を行うことを要求しています。事業所は、本法の制度内容や適用要件、復職に関する情報等を従業員に対して適切に提供することが求められます。

以上の事業所の役割と責任は、本法の円滑な適用と、従業員のワークライフバランスの向上を実現するために不可欠な要素です。

4. 育児・介護休業法に基づく休業制度の具体的な内容

育児・介護休業法による休業制度の主な内容は以下の通りです。

育児休業

従業員が子どもを養育するために休業することができます。休業可能な期間は、子どもが一定の年齢に達するまでで、事業所との協議により期間を定めます。

介護休業

従業員が家族の介護を必要とする場合に休業が可能です。休業期間は通常、必要とされる介護の期間に合わせて設定されます。

短時間勤務制度

子どもや家族の介護のために、従業員が一定期間、労働時間を短縮することが認められています。制度の詳細は事業所の就業規則や労働協定により定められます。

復職保証

休業後、従業員が復職する際に、休業前の職場に戻ることが保証されます。また、休業前後で待遇に差が生じないように、事業所は従業員の待遇保護に努める必要があります。

以上の休業制度は、従業員が家庭と仕事を両立するための重要な支援策であり、事業所はこれらを適切に運用し、従業員のワークライフバランスの向上に寄与することが求められます。

5. 休業申出から復職までの手続き

育児・介護休業法に基づく休業制度を利用するための具体的な手続きは以下の通りです。

休業申出

従業員は、休業を希望する場合、事前に事業所に申し出る必要があります。申出には書面を用い、休業の理由、期間、開始・終了の日程などを明記します。

休業の承認

事業所は、従業員からの申出を受けて、休業が法律で定められた要件を満たしているかを確認します。要件を満たしている場合、休業を承認します。

復職の申請

休業期間が終了した際、従業員は復職を申請します。復職申請は通常、休業終了の一定期間前に行います。

復職の確認

事業所は、復職申請を受けて、従業員の復職を確認します。この際、事業所は従業員の待遇に変動がないことを確認し、必要であれば従業員に説明します。

以上の手続きを通じて、従業員と事業所は育児・介護休業法に基づく休業制度を円滑に利用することが可能です。事業所は、従業員が休業制度を適切に利用できるように、これらの手続きを適切に管理することが求められます。

6. まとめ

この記事では、育児・介護休業法の概要から具体的な手続きまでを解説しました。事業所においては、法の要件を理解し、従業員の申出に対して適切に対応することが求められます。また、従業員自身も自分の権利を理解し、必要な時には育児・介護休業法を活用することが重要です。

この法令は、事業所と従業員が協力して、従業員が家庭と仕事を両立できる社会を目指すためのものです。それぞれの立場で法令を理解し、それぞれが持っている役割を果たすことが、より良い働き方を実現するための鍵となります。

また、法令は時代とともに変化します。新しい法改正や裁判例が出た場合は、それらを把握し、必要に応じて対応を見直すことも重要です。育児・介護休業法は事業所と従業員の双方にとって重要な法律であるため、その理解と適用に努めましょう。

7. 参考URL

厚生労働省 育児・介護休業法について

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