GLOSSARY社労士用語集

障害者基本法(しょうがいしゃきほんほう)

POINT

障害者基本法は、障害者の人権保障、自立した生活、社会参加を推進するための法律です。事業所は障害者の雇用や働きやすい環境の整備に努めます。

1. 障害者基本法の概要

障害者基本法(昭和63年法律第123号)は、障害を持つ人々が自立し、社会生活を営むための基本的な方針を定めた日本の法律で、1993年に制定されました。この法律は、障害者が人格と尊厳を保持し、自分の能力に従って社会生活を営むための全面的な環境整備を基本理念とし、そのための具体的な措置を示しています。

障害者基本法は障害者の尊厳を保持し、自立生活を営むための基本的な方針を示しており、障害者が社会全体の中で平等な権利を享受し、全員がその能力を最大限に発揮できる社会を形成することを目指しています。この法律は、障害者自身の意識や社会全体の意識改革を促進するため、法的な規定に加えて社会全体の理解と協力を求める規定も含んでいます。

2. この記事における用語の定義

事業所

企業が経済活動を行う場所であり、障害者基本法では障害者の雇用促進や職場環境の整備に関わる役割が定められています。

障害者

身体的、精神的、知的な障害を有する者を指し、障害者基本法では、これらの障害者の自立と社会参加を促進するための取り組みが規定されています。

理由付け義務

事業所における障害者雇用に際し、雇用を控えた際の理由の明確化を求める法的な義務で、障害者の雇用機会確保に寄与しています。

バリアフリー

物理的、情報的、社会的な障壁を取り除くことで、障害者が生活しやすい環境を作る考え方を指します。障害者基本法では、社会全体でのバリアフリーの推進が求められています。

ユニバーサルデザイン

全ての人々が利用しやすいように、製品や建築、環境などをデザインする考え方であり、障害者基本法では、これを通じた社会全体の包摂性向上が推奨されています。

3. 障害者基本法における事業所の役割

事業所とは経済活動を行う場であり、その経済活動の一部として労働者を雇用します。障害者基本法では、障害者の社会参加を推進するため、事業所に対して障害者雇用の促進が求められています。

具体的には、事業所は障害者の雇用に積極的に取り組むべきとされ、そのための環境整備や配慮が求められています。例えば、建築基準法に基づくバリアフリーの適用や、障害者が働きやすいような職場環境の整備がその一例です。

また、障害者雇用促進法に基づく雇用義務者数の達成や、その進捗の報告も事業所に求められています。これらは障害者の雇用を確実にするための具体的な手段であり、その実現に向けた事業所の努力が不可欠です。

さらに、障害者が働く上での支援も重要な役割となります。障害のある労働者がその能力を十分に発揮できるよう、職務内容の配慮や作業環境の調整など、個々の障害者に対応した支援策を講じることが期待されています。

以上のように、事業所は障害者基本法において重要な役割を担い、障害者の社会参加を推進するための実践的な場となっています。障害者基本法を理解し、その精神を実践することで、事業所は障害者の社会参加を実現し、より良い社会の形成に貢献できます。

4. 障害者基本法に基づく障害者の雇用とその課題

障害者基本法では障害者の社会参加が重視され、その一環として障害者の雇用が促進されています。この節では、具体的な障害者の雇用に関わる法的な規定と、事業所が直面する可能性がある課題について説明します。

事業所における障害者の雇用については、障害者雇用促進法により規定されています。この法律により、一定規模以上の事業所は障害者を一定割合以上雇用することが義務付けられています。障害者基本法と併せて、これらの法律は障害者の社会参加と自立を支える重要な枠組みとなっています。

しかし、障害者の雇用にはさまざまな課題があります。たとえば、障害者自身のスキルや適性に見合った職場の確保や、職場環境の整備などがその一部です。さらに、雇用後も職務内容の調整や職場でのサポート体制の確立といった課題があります。

事業所における障害者雇用の推進は、障害者基本法の理念を実現するための重要なステップです。障害者が社会に参加し、自身の能力を最大限に活かすことができる環境を整備することは、社会全体の発展に寄与します。事業所はこれらの課題を理解し、具体的な対策を講じることが求められています。

5. 障害者基本法の遵守に向けた事業所の取り組み

障害者基本法の遵守は事業所にとって重要な課題であり、それに向けた具体的な取り組みが求められています。この節では、その取り組みと事業所が考慮すべき要点について説明します。

まず、障害者の雇用促進を目指す上で重要なのは、適切な環境整備です。障害者が能力を十分に発揮できるようにするために、バリアフリーの適用や作業環境の調整などが必要です。これらは障害者が事業所で働く上での基本的な条件となります。

次に、障害者のスキルや適性を十分に理解し、それに見合った職務内容の配慮も重要です。障害者に合った職務内容を提供することで、その生産性や満足度を向上させることが可能となります。

また、障害者の雇用に関する法律の理解と遵守も必要です。障害者基本法や障害者雇用促進法など、障害者の雇用に関連する法律の内容を理解し、その精神を遵守することが求められています。

最後に、障害者への理解を深めるための教育も重要です。事業所内で障害者への理解を深めることで、障害者がより良い環境で働くことができます。

以上のような取り組みを通じて、事業所は障害者基本法の遵守に向けた努力を進めることができます。障害者の社会参加を推進し、その能力を活かす環境を提供することは、事業所にとっても多大なメリットがあります。

6. まとめ

本記事では、障害者基本法についての概要から具体的な事業所での取り組みまでを解説しました。障害者基本法は、障害者の人権保障と社会参加を推進する重要な法律であり、事業所はその遵守に努めるべきです。

事業所での具体的な取り組みとしては、障害者が働きやすい環境の整備、適性に見合った職務内容の配慮、障害者雇用に関する法律の理解と遵守、そして事業所内での障害者に対する理解を深める教育があります。

これらの取り組みを通じて、事業所は障害者の社会参加を支援し、その能力を十分に活かすことができます。また、障害者の能力を活かすことは、事業所自体の生産性向上にも寄与します。

障害者基本法の遵守は、法令順守だけでなく、事業所の成長と社会貢献にもつながる重要な要素であることを理解し、その実現に向けて具体的な行動を起こすことが求められます。

7. 参考URL

厚生労働省 障害者福祉

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