iDeCo+(イデコプラス)とは?制度の概要やメリットについて
投稿日:2022年8月31日
これは、個人が加入するiDeCo(個人型確定拠出年金)に上乗せして、事業主がその掛金を拠出できるものです。
近年、福利厚生の一環として導入する企業が増えており、節税対策としても注目されています。
今回は、イデコプラスの概要やメリットなどについて解説します。
目次
iDeCo+(イデコプラス)とは
iDeCo+(イデコプラス)とは、正式名称を「中小企業主掛金納付制度」といいます。中小企業の事業主が、iDeCoに加入している従業員に上乗せして掛金を拠出できる制度です。
これにより、従業員の老後の所得確保に向けた支援をおこなうことができます。
2022年2月時点で、イデコプラスを導入している事業所は4,000にのぼり、25,000人以上の従業員が適用を受けています。
イデコプラスの対象者
イデコプラスの対象になるのは、企業年金を実施していない、従業員数300名以下の中小企業の事業主です。
制度の実施については、労働組合や従業員の過半数の同意を得ることが前提となります。
さらに、その適用を受けるのは「イデコプラスを導入した事業所で働く、iDeCoを利用している従業員」です。会社としてイデコプラスを導入していても、iDeCoを利用していない従業員は強制加入にはなりません。個人がiDeCoに加入するかどうかはあくまでも任意です。
イデコプラスの掛金
イデコプラスの掛金は、加入者掛金と事業主掛金の合計額が月額5,000円から23,000円の間で、1,000円単位で設定できます。
従業員と事業主の掛金はどちらが多くても構いませんが、従業員の掛金が0円で、事業主だけが掛金を拠出するということはできません。
企業年金との違い
企業年金(企業型確定拠出年金)とイデコプラスの決定的な違いは、主体となっているのが事業主と従業員のどちらかという点です。
企業年金の場合、運用管理手数料は事業主が負担し、掛金の拠出および運用の責任を負います。
一方イデコプラスの場合は、運用管理手数料等の諸経費は従業員が負担します。事業主の役割は掛金を上乗せすることのみであり、iDeCoの運用結果は従業員本人の責任になります。
【参考】厚生労働省 「「iDeCo+」(イデコプラス)パンフレット等のご案内(事業主向け)」(外部サイト)
イデコプラスを導入するメリット
イデコプラスの導入には、以下のようなメリットがあります。
従業員のメリット
個人の老後資金対策としてiDeCoにメリットがあるのは周知のとおりですが、さらにイデコプラスを導入することで、会社に掛金を上乗せしてもらえます。
また、イデコプラスは原則として給与天引きで拠出されるので、個人単位で金融機関に納める手間を省くこともできます。
事業主のメリット
事業主が負担するイデコプラスの掛金は全額を損金算入できるため、節税効果が期待できるでしょう。
企業年金を運用するよりも手数料などのコスト面を低く抑えられるため、経費削減にもつながります。
また、福利厚生が充実している会社かどうかは、労働者が職を探す際のポイントの一つです。イデコプラスの導入企業であることを対外的にアピールすることで、人材確保においてもメリットがあるでしょう。
イデコプラスを導入するための手続き
イデコプラスを導入するためには、事業主が次のような手続きをおこないます。
イデコプラス開始の届出
まず、「中小事業主掛金納付開始・終了届」を国民年金基金連合会に提出します。
次に、地方厚生局への届出をおこないます。イデコプラスに加入する従業員の増減があった際には、その都度届出が必要です。
登録事業所番号の付与
国民年金基金連合会へ「登録事業所届」を提出することで、「登録事業所番号」が発行されます。
この番号を使い、従業員のiDeCoの掛金と、事業主が負担する上乗せ分の掛金をまとめて事業主の口座から納付することができます。
【参考】厚生労働省 「「iDeCo+」導入ガイド」(外部サイト)
iDeCoの加入年齢引き上げにともなう手続き【2022年5月】
2022年5月より、個人のiDeCoに加入できる年齢の引き上げがおこなわれました。
これにより、従前は60歳までしか加入できなかった会社員(国民年金第2号被保険者)が、国民年金の被保険者である限りiDeCoに加入できるようになりました。
改正に関連して、イデコプラスを実施している事業主は、対象者を見直す必要があります。対象となる従業員と手続き内容は以下のとおりです。
1962年5月1日以前に生まれた従業員
60歳に達した日(誕生日の前日)に加入者の資格を喪失しています。新たにiDeCoの加入者となるためには、受付金融機関(運営管理機関)の手続きが必要です。
1962年5月2日以降に生まれた従業員
60歳に達した時には加入可能年齢が60歳から65歳に引き上がっているため、60歳以降も引き続き加入者となります。掛金の拠出を停止したい場合は受付金融機関(運営管理機関)に運用指図者となる手続きをおこなう必要があります。
※この手続きをおこなわない場合、60歳以降も継続して掛金が引き落とされるので注意
【参考】厚生労働省 「企業型DC・iDeCoの加入可能年齢の拡大(2022年5月1日施行)」(外部サイト)
まとめ
イデコプラスは企業の福利厚生としてメリットが大きい制度ですが、導入には労使の話し合いが欠かせません。
事業主と従業員の双方がメリットや生じる責任を把握したうえで、活用を検討するようにしましょう。
服部社会保険労務士事務所では、上記のような手続きをサポートするサービスをご用意しています。
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